祈りの海 (ハヤカワ文庫SF)

祈りの海 (ハヤカワ文庫SF)

途切れ途切れに読んでいたら1、2ヶ月かかった。
イーガン初体験。
読んでいて思ったのは、
どの短編も読んですぐに状況がわかった。
読んでいくうちに少しずつ理解していくのではなく、ポンって状況を提示してくれる。
だからといって作品内に出てくる理系用語の数々を理解できるわけではないけどな。
事前にイーガンはアイデンティティがテーマだと聞いていたけど、まさにその通り。
以下好きな短編
「ぼくになることを」
バックアップ用の宝石を脳の中に埋め込んだ人類の話。
「繭」
テロ事件を捜査する刑事が知ることになる拭い去れない差別。
「放浪者の軌道」
信仰を持たないものたちに待つ皮肉的な結末。
「祈りの海」
これもまた信仰についての皮肉的な真実。
ただこの短編にある本筋とはあまり関係がない性描写には度肝を抜かれる。
ふたなりとか受けとか攻めとかある意味超越している。