まさにジョウント

虎よ、虎よ! (ハヤカワ文庫SF)

虎よ、虎よ! (ハヤカワ文庫SF)

合宿前夜のことである。
ゴキブリが部屋に出た。
何かの暗喩ではない。
ゴキブリが部屋に出た。
ぬらぬらと黒光りする彼の長い触角を見た瞬間(意外と長いんだよ)、失神しかけた。
彼は部屋中を駆け巡る。
片付けずに放置されたストーブ、刀語とイーガンが並ぶ本棚、中学以来使わなくなった習字セット。
知らぬ間に移動し見たくないのに現れる。
ベッドの下から出てきたとき、おれは悲鳴をあげていた。
そういうわけでSFの金字塔「虎よ、虎よ!」なのだが、
ゴキブリ出現と合宿を経た今、感想なんてどうでもよくなってしまった。
そもそもまともな感想なんて今まで書いてないし、薄っぺらじゃない感想を書けなんて土台無理な話だ。
だからもう傑作としかいいようがない。
怒涛、そして圧巻。
探すのを諦めて図書館で借りてしまったので復刊を望む。