大鴉の啼く冬 (創元推理文庫)

大鴉の啼く冬 (創元推理文庫)

久しぶりにおもしろい英国ミステリを読んだ。
英国作家推理協会賞最優秀長篇賞を受賞した作品。
英国の北端シェトランド島で一人の少女が殺された。
真先に疑われたのは八年前の少女失踪事件の容疑者であった知的障害の老人であった。
四人の主要人物の三人称視点で語られる。
容疑者にされた知的障害をもつ老人。
被害者と親友であった少女。
遺体発見者であり、ロンドン出身の画家であるシングルマザー。
僻地の島で生まれながらもスペイン人の血が混じった刑事。
舞台が田舎なので、登場人物は閉鎖社会の不満で鬱屈している。
鬱々とした日常の描写がうまい。
構成でも読ませてくれる。特に終盤の犯人に辿り着くまでの展開が引き込まれた。
被害者やその親友であった少女のことを取り上げるならば、
ある意味青春ミステリ。
自信と不安が織り交ざった思春期真っ盛りの親友の少女や
ある種中二病(高二病?)の捻くれた被害者の少女。
ムカつきながらも楽しんだ。